超広角14mm f1.8 フォトインプレッション
2017年7月28日、シグマから焦点距離14mm、F1.8の超広角レンズが発売されました。星撮りはマイクロフォーサーズのカメラで、と思っていましたが、このレンズが発売されたことで、チョット考えが変わりました。
キャノンからも14mmの超広角レンズは発売されていますが、開放F値が2.8で、値段も¥300,000円近くします。ま、シグマも安くはありませんが!!!
なぜか、発売日の1週間前に手に入りました。早速、近くの川で撮影してみます。超広角なのに。周辺部の歪がありません。(Canon EOS 1DXに装着し、撮影しています)
中央部をピクセル等倍でトリミングしてみました。橋の欄干は十分解像しているようです。
左下の川面をピクセル等倍でトリミングしてみました。川面の臨場感は出ていると思います。
このレンズの本番は奈良県の大台ケ原のペルセウス座流星群の撮影です。
早速、流星を撮影することができました。絞りは開放、1.8で、シャッター速度4秒、ISO感度は3200です。中央の上にベガ(織姫)がハッキリと写っています。目を凝らして、よ〜く見ると、6等星まで確認できますね。
ベガの近くをピクセル等倍でトリミングしてみました。こと座の4等星(ベガは1等星)の星々もハッキリ写っています。
流星のところを1600×1067ピクセルでトリミングし、800×534ピクセルにリサイズしました。流星の発光時間は1秒くらいでしょうか。色と明るさが変化しながら、流れていくのが分かります。
左下に雲がかかり、左下から右上に天の川が流れています。時刻は午後8時30分です。ISO感度3200、シャッター速度4秒、絞り1.8開放です。真ん中、チョイ上に明るく輝いているのは、こと座の一等星ベガ(織姫)です。シャッター時間が短いですが、何とか天の川が分かりますね。
午前0時14分、薄雲の中の流星をピクセル等倍でトリミングしたものです。流星の縁が黒く写っています。この現象を“ハロ”と呼ぶことにしました。
“ハロ”の出ているところを2倍に拡大してみました。明るく輝く星の縁が黒くなっているのが分かるでしょうか。なぜ、このような現象になるのか原因が分かりません。収差とか回折が考えられますが、原因がレンズにあるのか、センサーにあるのかも分かりません。午後8時に撮影した星空写真では、この様な現象は見られませんでした(ただ、分かりにぅいだけかも)。 この“ハロ”の対策になるか分かりませんが、レンズの後端にフィルターを付けることにしました(このレンズの前面は出っ張っている(通称出目金レンズ)ので、通常のフィルターを取り付けることができません)。
レンズ後端の部品をシート状の薄いフィルターが挟めるようなポケットの付いたものに交換しました。チョット分かりにくいですが、指定された形状に切ったフィルターを取り付けました。
取り付けたのは、LEEの軟焦点効果用フィルタ No.3です。明るい星が滲んで大きく写ることが期待できます。
フィルターの効果を確認するため、12月14日午前2時、山中湖から富士山上空のオリオン座を撮影しました。全天で一番明るい星、シリウスは大きく滲んで写ってくれました。オリオン座の星々も予想通りに滲んでくれています。ソフトフィルタの効果は大きいようです。また、“ハロ”も出ていないようです。ただし、暗いので、富士山は綺麗に写ってくれません。
翌年の1月4日午前3時、月齢16.9の月が照らす富士山を撮影しました。月の灯りのため、写っている星は少ないですが、富士山がクッキリと写っています。明るいレンズのおかげですね。
山下公園から月の光に照らされた海に浮かぶ氷川丸を撮影しました。船の上には月齢16.6の月が出ています。
後部デッキをピクセル等倍でトリミングしました。手すりなど、クッキリと写っています。
海面をピクセル等倍でトリミングしてみます。チョット微妙ですが、雰囲気はでていると思います。暗いシチュエーションでは、使えるレンズです。
暗いシチュエーションだけではありません。朝焼けの富士山を背景にして、山中湖の湖岸に打ちつける波を撮ってみました。岩に打ちつけられた波は凍っています。
山中湖の反対側、朝霧高原から撮影した昼間の富士山です。
朝霧高原から、富士山の上空に出ている天の川を撮影しました。午前1時34分ですが、富士山周辺は明るいですね。ISO感度は6400、シャッター速度6秒、絞りは開放f/1.8です。
沖縄宮古島の前浜ビーチで撮影した天の川です。空が暗いので、下の街路灯の明るさに負けないで輝いていますね。ISO感度は1600、シャッター速度30秒、絞りは開放f/1.8です。
北海道十勝岳の上空の天の川です。この夜は一面の星空でした。ISO感度は1600、シャッター速度30秒、絞りは開放f/1.8です。
最後に石垣島で撮影した南十字星です。でも、どこに写っているのか分かりにくいですね。この中で一番明るく写っているのは、木星です。ISO感度は1600、シャッター速度20秒、絞りは開放f/1.8です。
このレンズは星空撮影には、欠かすことのできないレンズです。
流星などの撮影には、マイクロフォーサーズ、天の川などの撮影にはフルサイズと思っていましたが、9月5日にキャノンからフルサイズミラーレス一眼カメラが発表されたので、流星撮影にもフルサイズと思うようになりました。センサーの大きいフルサイズのほうが暗い星空撮影には有利ですし、天の川を撮影して、解像感の違いが分かりました。星空撮影で一眼レフのEOS 1DXを使うときは、ミラーアップで撮影しているので、フルサイズのミラーレスには興味があります。オリンパスからもマイクロフォーサーズの新しいカメラが発表されそうなので、こちらも楽しみです。