予選はハイパーソフトタイヤの使いこなしが肝だった

例年の傾向からするとメルセデス不利なコースなのだが、蓋を開けてみたらハミルトンの圧勝だった。

どうも結果から逆算すると、ハイパーソフトタイヤとの相性が結果を決めた感触だ。

ハイパーソフトは市街地コースでしか使われない特殊なハイグリップタイヤで、どうも有効な温度レンジの幅が狭いらしく、ウォームアップが緩いと周の前半でグリップせず、かと言って攻め過ぎると周の後半でオーバーヒートしてパフォーマンスダウンする癖の強いタイヤだそうだ。

年間で使うサーキットが2つか3つしかないのでデータを蓄積する機会がなく、今年から導入されたタイヤなので去年までのデータがない。なのでタイヤ巧者なドライバーじゃないと使いこなし難く、ルーキーには厳しい。

今回、ハイパーソフトを上手く使いこなしたのは、メルセデスレッドブルフォース・インディアだったと思う。

メルセデスは今シーズン、リヤタイヤへのアタック性が強くてコースによってはタイヤがもたない感じ。

レッドブルはグリッド上で最もダウンフォースが強いマシンと目されている。

フォース・インディアは直線番長的なマシンコンセプトで、リヤ寄りに空力重心を振っていると見られている。

シンガポールフリー走行で予選シミュレーションをしてみた感触はウォームアップが難しく、熱入れが足りないとコース前半でアンダーステアで、熱を入れ過ぎると後半でオーバーヒートでスライドするとのことだった。

実際に予選をやってみたら、リヤに強いダウンフォースをかけられそうな3チームが好調で、バランスが良いフェラーリは伸びず、タイヤに優しいトロロッソは不調だった。

特にトロロッソは苦しんだようだ。今年のトロロッソのマシンはグリッド上で最もタイヤライフがもつようで、しばしばガスリーはタイヤ交換を引っ張って好結果を出している。

それがこのコースでのハイパーソフトでは仇になって、酷くバランスが悪かったそうだ。フェラーリエンジンとのパワー差を埋められるコースレイアウトなだけに、この結果は残念だった。

しかし固めのタイヤでのペースは悪くないので、決勝での順位アップは期待できる。

もっともこのコースは抜き難いので、上げても2つぐらいだとは思うが。

ハイパーソフトとの相性はメルセデスが良かったが、他のタイヤだとフェラーリの方が調子が良かったし、なんと言ってもここではレッドブルが強い。上位争いが三つ巴になって面白そうだ。

■ガスリー予選15番手「問題点を解決できず。トップ10とのタイム差は大きい」:トロロッソ・ホンダ F1シンガポールGP

(AUTOSPORT web - 09月16日 08:01)