Summerfling7

座って

梨加がソファーに座りすぐに愛佳も右隣に座った。

愛佳ちゃんは手伝わなくてもいいの?

うん、私の仕事は終わったから

そうなんだいつもお店手伝っててすごいね

ねぇ、あたしと付き合ってみない?

え!?

梨加は愛佳の衝撃的な言葉に耳を疑った。

どう?

もちろん困惑するのも無理はない

だって今時こんなこと

軽しく言わないし

警戒されるのも当たり前

でも、あたしは何故か言いたくなった

自分が傷つかないようにかるーく言って

梨加の反応を見てみたかった

うーん

梨加は言葉が見つからずに押し黙ってしまう。

まぁ、いきなりだし、こんなことはいって即答できるわけないか

ごめんなさい

あ、1つだけ聞いといていい?

うん

もしかして、同性愛とか偏見持ってるタイプ?

いやそんなんじゃなくて

いきなりでびっくりしたのは

そりゃもちろんあるけど

そんなんじゃなくて

いや、そういうんじゃなくてまだ出会ってばっかだしえ、と

ハッキリ言ってくれていいよ?嫌って

いや嫌とかそんなんじゃない。ただ

ただ?

人との恋愛自体に免疫がないというか

梨加って何歳?

19になったけど

うぶなんだね、可愛いっ

え////

コンコン

お話中ごめんね?おまたせ、いこっか

愛佳の母親が現れた為、話は中断された。

ごめん、困らせて。忘れて。行こ

う、うん

二人は部屋を後にし、愛佳の母親の後ろで並んで歩く。

背中ごしのBGMは波の音。

おもむろに隣を歩く彼女の顔を見た。

その瞬間私は何故か目を奪われた。

うまく言い表せれないけど、整った目鼻立ちの彼女の表情はどこか物足りなくてちょっぴり寂しそうで、目に深い悲しみの色があるように見えた。

ん?

あ!うううん、なんでもない

あのさ

一緒に来て欲しい所があるんだけど

うん、いいけどいいの?海の家

友梨奈に頑張ってもらうよ

あ、そうだ!こないだ理佐と見たんだけど、友梨奈ちゃんサーフィンやるんだね?すごく様になってた。誰に教えてもらったんだろ

お父さんだよ

そうなんだ!じゃあ愛佳ちゃんもサーフィンできるの?

一応ね

すごい!今度見たいなぁ、愛佳ちゃんのサーフィンしてる姿

いつかね

この時、私は気づかなかった。

表情や声のトーンの変化で、気づくべきだったのに気づけなかった。

彼女はある過去を背負って生きていること。

それが彼女にとってどれだけ大事な思い出で、どれだけの後悔、罪悪感を持っているか。

何も知らなかったとはいえ、この時発した私の言葉で彼女の心をえぐってしまったことを私はこの時全く理解していなかった